日本経済新聞が報じた記事が大きな話題となっています。
これまでも、日本では世界に比べて自動車に関わる税負担が重すぎると言われていましたが、また新たな
「走行距離課税」
というワードが出てきたことで、
また庶民から税金をむしり取るつもりか!
「若者の車離れとか言ってるくせに、やることが矛盾している!」
と、悲鳴や批判の声があがっています。
そこでこちらの記事では
- 今話題となっている「走行距離課税」とは一体どういうものなのか?
- どんな車が対象になるのか?
- どれくらいの金額を取られるのか?
- 車が移動に必須の地方民はどうなるのか?
といったことについてお伝えしていきます。
「走行距離課税の導入検討」のニュースの概要
「車税制、EV時代へ見直し 走行距離課税導入を議論」という記事を日本経済新聞が報じました。
車税制、EV時代へ見直し 走行距離課税導入を議論
政府税調、道路維持へ財源探る 減税縮小も焦点政府の税制調査会(首相の諮問機関)は26日の総会で、電気自動車(EV)の本格普及を見据えた自動車税制の見直しに着手した。燃費性能の向上などでガソリン税の減収が続く。道路の維持費を賄う代替財源の確保に向け、走行距離に応じた課税などを検討する。
財務省は2023年度の税制改正で、将来に向けた課題として走行距離に応じた課税の検討を深めたい考えだ。26日の政府税調総会では、事務局の財務省から「EVがある程度普及した後の段階での税制の在り方を議論したい」と呼びかけた。
現在は車を買うときに課税するほか、持ち主に対して年1回や車検のたびに課税する。燃料のガソリンにはガソリン税、軽油には軽油引取税がかかる。ガソリン車の燃費性能が向上し、燃料を使わない電気自動車やハイブリッド車が広がる。ガソリン税や軽油引取税などの燃料課税は22年度の予算・計画額が3.2兆円と、07年度から約1兆円減った。
走行距離に応じた課税など新たな税の導入時期については「あまり時間はかけられない」とも話した。
道路やトンネルの老朽化でインフラ設備の維持にかかる費用は今後さらに増えるとの推計がある。EVはガソリン車に比べて車両が200~300キロ重く、道路にも負荷がかかりやすいとされる。
日本経済新聞
政府の税制調査会が、電気自動車の本格普及を見据えて、現行の自動車税制度の見直しに着手したとのことです。
自動車業界の企業努力により、自動車の燃費性能は向上しています。
さらに、ハイブリッド車や電気自動車も普及していきているため、ガソリンの売上が減り、国に入ってくるガソリン税の減収が続いているのです。
その減収分を賄うため、「走行距離課税」という案が出ているようなのです。
「走行距離課税」とは一体どういうもの?

そもそも、「走行距離課税」とは一体どういうものなのでしょうか?
走行距離課税とは
「揮発油税に代わって、走行した分だけ課税される」という課税案
のことです。
まだ「案」の段階なのですね。
(揮発油税というのは、いわゆるガソリン税のこと)
ここで大事なポイントは
揮発油税に代わって
というところになると思います。
こちらは2018年に、走行距離に対して課税するという案が浮上した時の記事です。
自民党税制調査会の額賀福志郎小委員長は28日、中長期の課題として自動車関連税制の抜本改革を議論する意向を表明した。車を共同利用する「カーシェアリング」や電気自動車(EV)の普及といった環境変化に対応。エンジン車の保有を中心とする現行の課税方式から、走行距離や環境性能を基準とする仕組みへの転換を軸に検討する。
来月にまとめる与党の2019年度税制改正大綱で結論は出さず、将来的に見直す方針を盛り込む考えだ。
額賀氏は28日の党税調会合後、IT化の進展も挙げ「自動車は転換期を迎えている」と記者団に強調した。
https://www.nara-np.co.jp/news/20181128170100.html
「エンジン車の保有を中心とする現行の課税方式から、走行距離や環境性能を基準とする仕組みへの転換」
とあり、「転換」という表現をしていますよね。
つまり、現行の税の仕組みに新たな税を追加するのではなく、新しい枠組みを作ることが前提となっている、ということですね。
もちろん、まだ検討段階の話ですので確定ではありませんが、
「ガソリン税も払っているのに、さらに走行距離税まで上乗せされるの?!」
ということではないはずです。
報道やSNSなどで
「走行距離税」「EV車」といったワードが先行し、「EV車乗れる富裕層優遇!」「ガソリン車の税負担エグくない?」というような声も多くあがっているようです。
ガソリン車がガソリン税と走行距離税を2つ納めないといけないの??
これってガソリン車の人は、 ガソリン税も払って、 走行距離税も払って、 ダブルパンチってことになるんですかね?
確かに、ぱっと見ると「2重取りされるのか?!」と不安になってしまいますよね。
しかし、先程お伝えしたように、「走行距離課税」は新たな枠組みの中で検討されている税金となりますので、
「走行距離税って、もちろんEV車だけにかかる税金だよね?」
とか、
「ガソリン車はガソリン税プラス走行距離課税でダブルで取られるの?」
というような意見はどちらも正しくないということになります。
まだ検討段階ですので、どの車種にどういった形で走行距離税がかかるのかには言及できないというのが現状のようです。
走行距離課税ってぶっちゃけいくら位になるの?

では、今後「走行距離課税」が導入されたら、それは一体いくらくらいになるのでしょうか?
こちらも、正確な金額はまだ分かりませんが、一説によると
1Kmあたり5円
などの噂もあるとか。
「ガソリン税からの転換で、EV車に同じレベルの負担を」と考えると
だいたい1Kmあたり3円から5円くらいになるのでは
と予想する声が多いようですね。
「1Kmあたり5円」と仮定すると、走行距離に応じた税金の額は
5,000Km → 25,000円
10,000Km → 50,000円
ということになります(あくまでも仮定の話です)。
また、走行距離をどうやって算出するのかについてですが、
・「車検時にメーターで確認」→ メーター戻しなどの不正はどうする?
・「GPSの履歴」→ プライバシーの問題や、フェリーで移動するなどのイレギュラー対応はどうなる?
など、ちょっと考えただけでも色々とクリアしなければいけない問題がありますので、こちらもまだどうなるかは分かりません。
車必須の地方民は負担が大幅に増える?

今回の報道を受けて
「車必須の地方民には辛すぎる!」
「北海道民の気持ちを考えろ!」
というような声もあがっています。
ただ、現状ガソリン車を使用している場合であれば、そもそも「走った分に応じたガソリン税」を支払っているわけですよね。
ですので、現状の「ガソリン税」での負担額とかけ離れない設計になれば、「負担増」とはならないはずです。
ただ、現状の「ガソリン税」での負担額と比べて、今後新たに導入される「走行距離税」での負担があまりにも大きくなるようでは、制度設計としてアウトだと思われます。
ここはしっかりと検討の上、慎重な制度設計をしていただきたいところですね。