非常に残念で悲しいニュースが飛び込んできました・・・。
2020年5月13日
新型コロナウィルスに感染していた
高田川部屋所属の三段目
勝武士(しょうぶし)力士(本名:末武清孝さん)
が、28歳の若さでコロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため亡くなられました。
28歳という若さですし、力士というと体力もありそうなイメージですが一体なぜ?
そこには彼の抱えていた持病と、発症から治療開始までに時間がかかってしまったことが原因だったようなんです。
勝武士(末武清孝さん)は糖尿病の持病があった
コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のために亡くなられて末武清孝さんは、まだ28歳。
新型コロナウイルス感染で日本のプロスポーツ選手が死亡するのは初めて。
読売新聞
厚生労働省によると、国内で20歳代の死亡者はこれまで同省に報告されていないとしている。
プロスポーツ選手としても初めてのケースですし、日本国内で最初の「20歳代の死亡者」となってしまわれました。
そこで彼が重症化し、結果的に死に至ってしまった理由としてあげられているのが
糖尿病の基礎疾患があった
という事実なのです。
2016年の日刊スポーツの記事から。
「珍事!低血糖障害で不戦敗」
日刊スポーツ
4日目の三段目の取組で、珍事が起きていた。西54枚目の勝武士(24=高田川)は土俵下の控えで全身が紅潮して手が震え、取組直前で異例の不戦敗。審判で異変に気づいた峰崎親方(元前頭三杉磯)から「相撲は取れるか」と聞かれると「できれば、このまま帰りたいです…」と訴えた。相手の朱鷺ノ若も「審判の親方から『不戦(勝)だよ』と。ビックリした」。峰崎親方も「初めてだよ」と驚きを隠さなかった。
低血糖は意識障害を起こし、最悪そのまま死に至ることもあるそうですから、この時に取り組みをやめたことは賢明な判断だったと思われます。
原因は2年前に患った糖尿病による低血糖障害だった。当日は取組前に「エナジードリンクとチョコ」を摂取したが、薬は飲んでいなかった。定期通院しておらず、自己管理不足がたたった。駆け付けた師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)からは「野菜を多めに取るとか、自分で考えてやらないとダメ。プロだから」と諭された。朝稽古前は食事しないのが角界の通例だが、特例も認めるという。
日刊スポーツ
若さゆえか・・・自己管理不足があったようですね。
6日目は出場し、体重250キロの謙豊を力強く押し出し。元気な姿を見せ「不安とか緊張も原因だったみたい。薬も1日3回飲むようにして、昨日も検査して異常はなかった」と、ばつが悪そうに笑った。
日刊スポーツ
おそらくこの日の出来事を反省し、きちんと薬を飲み、自己管理を続けていたであろう末武さん。
コロナウィルスに感染してしまったことが残念でなりませんん。
発熱から入院まで5日も要した経緯は?
日本相撲協会が発表した、勝武士さんの発症から死去までの経緯がこちらです。
- 4月4、5日 38度台の発熱。師匠らが保健所に電話をかけ続けたが、つながらず。
- 4月4~6日 近隣の複数の病院に依頼したが、受け付けてもらえず。
- 4月7日 近隣の医院にも相談したが、医療機関は見つからず。
- 4月8日 熱が下がらず血痰(けったん)が見られたため救急車を呼んだが、なかなか受け入れ先が決まらず、夜になって都内の大学病院に入院。簡易検査の結果は陰性。
- 4月9日 状態が悪化し、別の大学病院へ転院。
- 4月10日 PCR検査で陽性と判定。
- 4月19日 状態が悪化し、集中治療室で治療を受ける。
- 5月13日 午前0時30分、都内の病院で死去。
この経過を見ているだけで、なんだか胸が詰まります・・・。
保健所も、病院も、近隣の医療機関も、フルパワーで頑張っていることは間違いありません。
師匠らも必死で電話をかけたり、病院に頼み込んだりしたことでしょう。
これを見る限り、
決してどこかに「たらい回し」されたわけではなく、とにかくそれぞれの施設がすでにマンパワー不足であり、患者に対応しきれていない
という事実が見えてきます。
そのようなことが起こっている結果、勝武士関は4月4日に38度台の熱が出てから、5日間も病院に受け入れてもらえなかったという事実。
熱が下がらず、苦しいまま、5日間も自宅で過ごす不安はどれほどのものだったでしょうか・・・。
まして、本人も糖尿病であることは分かっていたことですから、怖くてたまらなかったはずです。
そう思うと、本当にいたたまれません。
血痰が出るほどに重症化して、救急車を呼ぶも、受け入れ先がなかなか決まらない。
都市部の医療現場はすでに崩壊しているのでは、ということもすでに報じられてきていますが、改めて現実を突きつけられた思いです。
「幕内力士だったら対応が違ったの?」世間の声
今回の訃報を受けて、なんとなく思っている方も多いであろう、この意見。
まず、「たらい回し」という表現は適切では無いと思いますが、どうしても
「もし勝武士関が幕内力士だったら・・・?」
「もしも大関や横綱だったら・・・?」
対応が違ったのではないか
などと考えてしまった方も多いようです。
現実にそのような「選別」が行われているかどうかは分かりません。
しかし、医療現場が逼迫しているという報道があふれ、不安が膨らむ中で、有名人・芸能人の方が
「入院しました」
「アビガン投与されました」
等々、ニュースになっているのを見ると、
「一般人の私達ではこうはいかないのではないか?」
と不安を掻き立てられるのも仕方ないかもしれません。
さいごに
若い人は重症化しない
というのが間違いだということは、すでに浸透してきたことと思います。
ただ、今回の訃報を受けて、
「若くても重症化するし、亡くなることもあるんだ・・・。」
と気を引き締めるのか
「若いと言っても彼は持病があったんでしょ?自分は平気だし!」
と楽観的にとらえてしまうのか。
どうか、前者であってほしいと、切に願います。
勝武士関のご冥福をお祈りいたします。
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